餃子の王将はやっぱり強かった-餃子の王将を財務分析する-

餃子の王将ブーム

最近、私の住んでいるところに餃子の王将が出店してきました。何と、こともあろうに餃子屋を営んでいる店の隣に出店したんですね。何とも挑戦的なことをするもんです、思いっきり喧嘩売っているわけですから。

私の記憶では、数年前に日経ビジネスなんかで餃子の王将がブームになっていました。この不況下でも業績を伸ばしていて、みんな注目していたみたいです。

ですが、最近はどうなんでしょうかね。私のアンテナ感度が良くないだけなのかもしれませんが、最近は以前ほどに騒がれなくなってきているのではないでしょうか。

「餃子の王将って最近どうなの?」そういう素朴な疑問が湧いたので興味本位で財務分析してみました。さて、餃子の王将の実力は如何ほどなのでしょうか。

餃子の王将の出店状況

少し前提条件をお話しておきます。まず、餃子の王将というのはあくまでもブランド名であって運営会社は王将フードサービスという会社になります。話を簡単にするために、以下では「王将フードサービス」という表現ではなく「餃子の王将」という表現を使います。また、以下のグラフ・図は、特に断りが無い限り、出典=有価証券報告書です。王将フードサービスの HP から入手できます。

前置きは良いとして … では、まずは餃子の王将の出店状況を確認していきましょう。

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全国的に見て、餃子の王将は出店数を着実に伸ばしていることが分かります。また、やっぱり近畿圏に基盤を置いていることも分かりますね。出店数は関西を筆頭にして、関東、中部と続いていきます。また、東北、北海道はつい最近になって出店を始めています。東北は 2010 年から、北海道は 2011 年から出店を開始しています。

もう少し、新規出店数の状況を確認してみましょう。以下は、新規出店数を年度別に追いかけてみた表になります。

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この表からは、主に三大都市圏(近畿、関東、中部)を中心に旺盛な新規出店を行っていることが分かると思います。それと並行して、今まで進出状況が良くなかった地域にも着実に店舗展開をしている様子が分かると思います。つまり、餃子の王将は、既存基盤=3大都市圏の店舗増強という流れと新規基盤=未進出地域の強化という二つの流れがあることが分かります。

餃子の王将の収益性

次に餃子の王将の収益性を確認していきましょう。

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積み上げグラフにしてあるので棒グラフの高さは売上を表します。着実に売上を伸ばしていますね。しかも、きっちり営業利益も伸びています。2011 年に成長率が落ちていますが、2006 年から 2011 年にかけて、5 年間で平均 8.34% の売上高成長率があります。十分凄い数字だと思います。

次は、ROA とその要因分解した値を確認していきます。

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ROA は大体 10 % から 20 % 程度あります。外食産業が一般的にどの程度の ROA になるのかについて私は余り詳しくないですが、産業全体を基準に考えれば、かなり凄い数字だと思います。ROA なんて 数パーセント台でやりくりしている会社なんてザラにありますし、赤字が出ればマイナスです。それを思えばかなり優秀な数字でしょう

また、資産効率(総資産回転率)と売上高利益率の両方を高めながら ROA を高めていることも分かると思います。どちらか一方だけを改善して ROA の向上を果たしたわけではないのですね。

また、資産効率の向上は餃子の王将を考える上でキーになってきます。というのも餃子の王将というのは、どうやら直営店の運営ノウハウが成長の鍵を握っている節があるからです。

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上の図は直営店とフランチャイズの構成を時系列で追いかけたグラフです。餃子の王将ってフランチャイズで儲けているわけではないようです。餃子の王将は店舗を基本的に自前で展開しています。また、売上高の直営店依存度も 90 % を超えた水準で年々高めています。

餃子の王将の資産構成と資金調達

次に、餃子の王将の資産構成を見ていきたいと思います。

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んー… 外食産業って普通こんな感じなんでしょうか? 私の持っている外食産業のイメージとはかけ離れているのですが… 私が無知なだけなんでしょうね。

このグラフを見る限り、餃子の王将は装置産業に近い形の資産構成になっていますね。非常に有形固定資産の割合が高いわけです。その内訳は殆どが店舗でしょう。グラフ上は表現していないですが、勘定科目として「建物及び構築物」と「土地」が有形固定資産の大半を占めています。

このような資産構成は、先ほど述べた直営店主義の裏返しでもあります。もりもりと自前で店を作って利益を上げて、その利益をもとに新しい店舗展開を進める餃子の王将という姿が見えてきます。餃子の王将から見れば、各店舗というのは食品工場なのかもしれないですね。

さて、この餃子の王将の食品工場を支えるファイナンスはどうなっているのでしょうか。

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固定資産>長期負債+自己資本、の関係がありますね。長期適合比率が 1 を割り込んでいます。これはかなり強気のファイナンスでしょう。安全性の面ではちょっと大丈夫?となりかねません。

また、自己資本比率も高まってきています。これは銀行からの借金を減らして、株式によるファイナンスに切り替えつつあるということです。それと同時に長期適合比率も下がってきています。

これらの傾向から、高い成長性を裏付けとして強気の店舗展開をする餃子の王将と、その強さを認めて資金提供する投資家という構図があるのではないかと思います。

そこで、株価と ROE の数字を見てみましょう。ちなみに、ROE の分子は当期純利益にしてあります。

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2009 年頃に株価が急激に高まっていますし、この期間の ROE も向上しています。私の記憶でも、ちょうどこの頃に「餃子の王将が凄い!」と言われていたような気がします。この時期、餃子の王将バブルだったわけです(あ、まだハジけてないですね、失礼しました)。これは、餃子の王将の強気の店舗展開に魅力を感じる投資家という図式の傍証となるでしょう。

餃子の王将の強さを支えるもの

このように行け行けドンドンな餃子の王将ですが、その裏側では人材育成が肝になっているのではないかと思います。

餃子の王将といえば、各店舗ごとで自由裁量の大きなメニュー構成という特徴があります。多分、店長が独自に知恵を絞って店舗運営してもらえるようにする仕組み・ノウハウがあるはずです。

また、全国各地に広く出店を進めている点も見逃せません。従業員に餃子の王将の流儀を教えつつ、(会社としては未経験の)地域に根差した独自性を発揮してもらうためには人材育成が非常に重要になっているはずです。フランチャイズだったら、自社のノウハウを教えればいいだけだからまだ分かります。フランチャイズの場合は、ノウハウ教えるから、その地域の特色に合わせてあんたが工夫してください、というわけです。ですが、餃子の王将は自前で店舗展開をしているわけです。ならば、尚のこと人材育成は重要な要素になるはずです。

また、想像ですが、店舗独自の工夫を促すために、かなりインセンティブのきつい給与体系になっているのではないかと思います。頑張れば見返りがあるような仕組みになっているはずです、多分。

餃子の王将の強さは、その人事管理のノウハウにあるのではないかと私は想像しています。

まぁ、このような定性的な側面は財務数値には表れてこないので雑誌なんかを見てみないと分かりませんが…

やっぱり餃子の王将は強かった

さて、最初の疑問に対する答えとしては「やっぱり餃子の王将は強かった」という風になると私は思います。

人を育てて各地に食品工場を建てる強気な餃子の王将。その収益性の高さが新たな資金と新たな事業展開の源泉となる餃子の王将。なかなかいい具合の成長スパイラルに入っていると思います。

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