京滋はまだまだお金持ち

近畿経済に関する素朴な疑問

最近、近畿圏の経済について調べていますが、ふと県民一人当たりの GDP ってどうなっているのか?という疑問が湧きました。よくよく考えると地域全体の GDP については調べていたのですが、県民一人当たりの GDP は良く知りませんでした。

そこで、どうなっているのか調べてみたので記事にしてみたいと思います。

近畿圏の 1 人当たり GDP を見る

内閣府の資料を漁ってみると県民一人当たり所得の統計が見つかりました。そのデータを基にグラフを描いてみるとこんな感じになります。

近畿圏の1人当たり県民所得の推移

ざっと数字を挙げておきましょう。

まず、2009 年度の 近畿二府四県全体での1人当たり県民所得は 267 万円でした。1999 年から 2009 年までの過去 10 年間では、年平均 -0.8% の成長率でした。

過去 10 年の各府県の平均年間成長率は、大きい順に京都府(-0.1%)、和歌山県(-0.2%)、滋賀県(-0.7%)、大阪府(-1.1%)、兵庫県(-1.2%)、奈良県(-1.6%) となっています。大きい順と言っても全てマイナスなのが悲しいところです。

さて、この数字とグラフ挙動から、近畿圏の 1 人当たり県民所得については大きく 3 つのグループに分けられると思います。京滋グループ、阪神(大阪+兵庫)グループ、奈良です。(和歌山に関しては別枠とさせてください)

グラフを見る限り、京滋グループはかなり健闘している地域と言えます。圏内で最も高い1人当たり県民所得を誇る滋賀県と下落傾向にありながらも、なんとか踏ん張っている京都という図式です。滋賀県は工場誘致を進めてきた結果が反映されているのだと思います。また、京都に集まる元気な企業という私の肌感覚とも一致します。

その次のグループは阪神(大阪+兵庫)グループです。この地域は経済的な結びつきが強いためでしょうが、グラフの中でも連動した動き方をしています。2000 年頃からリーマンショック少し前の 2007 年頃で比較すると、京滋グループと挙動が微妙に違うことも理解できると思います。京滋グループが年度ごとの変動幅が比較的小さかったのに比べ、阪神(大阪+兵庫)グループは上限に激しく振れていると表現することができるでしょう。

最後は奈良県です。奈良県は1人当たり県民所得の下落傾向に歯止めがきかない様子ですね。明らかに他のグループと挙動が異なっています。この期間に何があったのか興味深いところです。

さて、最後に、もう 1 点興味深い点があります。それは時代区分によるグループ間のトレンドの変化です。2000 年以前までは、これら 3 グループは似たような挙動を示していました(といっても単調減少の傾向に変わりはないのですが…)。ですが、明らかに 2000 年以降、これら 3 グループ間で挙動が異なっています。この点は非常に興味深いと思います。

まとめと課題

近畿圏の 1 人当たり県民所得に関して次のように言うことができます。

(1) 2000 年以前、近畿圏の1人当たり県民所得は同じようなトレンドで推移していた
(2) 2000 年以降、京滋グループは下落傾向にかなり歯止めがかかった
(3) 2000 年以降、阪神(大阪+兵庫)グループは上下の変動幅が大きい
(4) 2000 年以降、奈良は一貫して県民 1 人当たり所得が下落した

このような違いが出たのは何故でしょうか。まず、2000 年以降、各地域で経済的な構造に大きく差が出たと考えられます。各地域ごとの独自の構造の変化によってパフォーマンスの違いが出たと考えるのが妥当でしょう。

では、その経済構造の差異とは何なのでしょうか。今のところ、私にはその答えは分かりません。ですが、ひとつのヒントとして、特に、京滋グループと阪神(大阪+兵庫)グループの間で景気に対する感度に温度差が生じたのではないかと言えそうな気がします。阪神(大阪+兵庫)グループは景気変動に敏感に反応するような経済構造になり、一方で京滋グループは景気変動の影響を受けにくい経済構造に変化したのではないか。私としてはこのような仮説を考えてみたいと思います。

このような仮説のもと 2000 年以降の近畿圏の具体的な経済構造の変化を追いかけてみたいと思います。

あ、それから、奈良県ですが、こちらも謎ですね。ここ 10 年ほどの間に奈良県に何が起こったのか。これも興味深い問題として調べてみたいと思います。

(2012/05/02 追記)
景気変動と連動する大阪+兵庫という図式ですが、よくよく考えると 2000年になってから景気が良かったわけで、本当に連動するんだったら大阪+兵庫の1人当たり県民所得も上がるはずですね。ですが、グラフではそうなっていない。私の仮説の信憑性はかなり低そうです。では、一体何が影響したんでしょうか…