企業情報システムのポートフォリオ

企業情報システムのポートフォリオはどうなっているか

経済産業省の情報処理実態調査を眺めていると色々と面白いことが分かります。

その中で、「業務別情報システムの取り組み状況」という統計があります。この統計は調査対象企業がどのような企業情報システムを構築しているか、あるいは今後構築する予定なのかが分かるようになっています。面白いと思うのでご紹介しておきましょう。

BL201205-07-01.png

上図のグラフは、資本金 100 億円超の企業に対する調査票の回答のうち、各業務分野に関して「システムを保持していない」と回答した企業の数を棒グラフにしてみたものです。なお、このグラフでは、平成 18 年から平成 22 年度までの調査結果の平均値をプロットしてあります。また、 100 億円超の企業のみをプロットしましたが、全回答企業に関しても、このグラフとほぼ相似形であるため、記載は省略してあります。

このグラフからまず理解できることは各業務分野でグルーピングができることです。

・財務+人給グループ
・購買+生産+販売グループ
・物流+サポート+開発グループ

この三つに分類できます。そして、この順番で企業のシステム化が進んでいるということです。この順番は私の肌感覚と概ね一致します。

財務会計、人事給与に関しては枯れた領域なので大抵の企業はパッケージを使うことが多いです。いずれの企業でも独自性はほぼ無い領域であり、なおかつ機械化しやすい分野でもあるためです。この辺りを自前で作ろうとする企業は殆ど見たことがありません。

その次は、購買+生産+販売グループです。財務会計、人事給与のシステムが整備されてくると次はこの領域を整備するという流れです。私の肌感覚と全く一致します。しかも、キャッシュに近いところから手をつけていくという流れも非常に納得感がある。まず、販売管理をやりたい。そして生産管理、購買管理という流れですね。

ただ、物流のシステム化が進んでいないというのは私にとって意外な感じがあります。物流をにらみながら販売管理に手をつけて、その後に川上(生産、購買)に上がっていくというのが基本戦略だと私は思っているからです。

最後にサポートと開発に関するグループですが、ここは確かに手つかずの場合が多い領域です。それ以前の購買+生産+販売(+物流)のシステム整備に力を注ぐ企業が多いような気がします。

現在の主たるテーマは機械化

この流れの裏側にある大きなストーリーは「現在の仕事の機械化」です。まだまだ企業情報システムと言えば、今あるビジネスプロセスをそっくりそのまま機械化するということなのですね。

ここにはジレンマがあります。現在の仕事の仕方を単に機械にやらせているだけなので本質的な効率化が図れないのです。同じやり方をしていれば同じ結果が出ますよね。効率化のために機械化を進めるはずなのですが、効率化が達成できないのです。

しかし、このジレンマを踏み越えなければ機械化によるレバレッジを得ることはできません。暗いトンネルの中を歩くのは何とも辛いものがありますが、その先にある光に思いを巡らしながら、この闇の中を進むしかないだろうと私は思います。