電気が無ければ生きていけない-関西の大口電力需要と関西経済-

関西の大口電力需要を調べる

以前、関西電力の有価証券報告書から関西の原発事情を検討してみました。その調べ物の最中に面白いと思えるデータを見つけました。関西地区の業種別大口電力需要の表です。これは面白いと思って何か記事を書こうと思っていました。

ですが、よくよく調べてみると、何も有価証券報告書から数字を拾わなくても電気事業連合会の HP から簡単に数字が拾えるんですね。ちなみに、電気事業連合会の HP は、なかなかの優れモノで電力に関する DB から簡単に数字が拾えるようになっています。本当に便利です、感謝。

さて、関西の大口電力需要が分かれば、関西経済にどのようなインパクトがあるのかを調べてみたくなります。電力使用量と景気は密接な関連があるとは良く言われていることですが、実際にこの目で確かめてみたいと私は思ったのですね。

それだけではありません。原子力発電が制限される中、関西の企業はどのような対応をしてきたのかという点も大きなテーマです。調べてみて分かったことですが、各企業は相当な努力をしていることが分かります。この点についてもお伝えしておきたいと思います。

大口電力需要と景気

まず、大口電力需要と経済の関係を見ていきたいと思います。下図は、関西の GDP と関西の大口電力需要量の推移をプロットしたグラフです。

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GDP の数字は 2009 年までしか拾えなかったので 2010 年以降はプロットしていません。ですが、大口電力需要と経済の関係を見るという目的ならばこれで十分でしょう。また、散布図で 関西の GDP と関西の大口電力需要量をプロットしてみると次のようになります。

BL201205-09-02.png

これらのグラフで言いたいことは、電力需要量と GDP は連動しているということです。この関係は既に十分定説となっているものです。ですから、この記事ではこれ以上の議論はしません。そういうものだと思ってください。

業種ごとの大口電力需要を詳しく見てみる

さて、大口電力需要を業種ごとに細かく見ていきたいと思います。次のグラフは電力需要の大きい業種をピックアップして年度ごとの推移を見たグラフです。

BL201205-09-03.png

このグラフを見てみると業種ごとで挙動が違うことが分かると思います。そこで電力需要の傾向についてグループ化してみます。次のように分類できるでしょう。

(1) 景気変動にかかわらず、ほぼ一定の電力需要がある業種
(2) 景気変動に連動して電力需要も変動する業種
(3) 景気変動にかかわらず、年々電力需要が増える業種

まず、(1)の景気変動に関係なく一定の電力需要がある業種は鉄道ですね。これは至極当たり前の話だと思います。景気が変動したからといって、電車の運行量が変わりますか?そんなことはありません。ならば、鉄道会社の電力消費量は景気なんて関係がないのです。

次に、(2)の景気変動に連動して電力需要が変動する業種です。これは鉄鋼業や化学産業が該当します。これも分かりやすい話です。景気が悪くなり、在庫がダブついてくると生産を減らさないといけません。生産を減らす、すなわち工場の稼働率を下げるということは必然的に電力消費量が減ります。

さて、問題は (3)景気変動にかかわらず、年々電力需要が増える業種です。機械器具製造業です。この挙動が暗示することは電力需要が生産量に比例していないということです。言い方を変えれば、モノを作る量を減らせば電力需要が減るわけではないということです。

これは恐ろしいことだと思いませんか?この手の電力需要パターンに該当する企業は、電気が無ければモノが作れないという話ではないのです。電気が無ければ経営そのものが成り立たないのです。しかも、このパターンの代表的な業種=機械器具製造業は関西で一番電力需要の大きい業種になっているのです。

関西の企業は節電しているか?

3.11 以降、日本は電力を節約しなければならないという恐ろしい事態に見舞われました。この問題は今も解決していません。それどころか、今や日本の原発は全て停止してしまいました。さらに電力供給量の見通しは未知数になっています。

そのような背景の下、去年は産業界も電力節減を強いられました。では、どの程度の節減努力をしたのでしょうか。実際に見てみましょう。次のグラフは月ごとの電力需要を前年対比で 1 年分プロットしたものです。

BL201205-09-04.png

このグラフを見れば関西の産業界も相当に節減努力をしていることが透けて見えます。前年対比のグラフなので 0 %以下(網掛けの部分)であれば電力消費量を減らしているということです。各業種とも 3.11 発生前の年に比べて電力を節減していることが理解できるでしょう。数字だけを見れば「へー、そうなの」となって終わりかもしれません。しかし、実際の現場は涙ぐましいまでの努力をしているのだと私は思います。

日本経済全てのために電気は必要

このような調べ物をしていて私が感じることは、「私たちはもはや電気なしでは生きていけない体になってしまったんだな」ということです。

電気が無ければ人々は普段の生活ができません。また、企業もモノを作れません。それだけではありません。電気を使うなということが企業の存続そのものに直結する場合もあるのです。しかも、相当な電力使用量の削減努力をしています。誰も楽なんかしていない。

関西経済のことを調べたいというのが原点の動機だったので、今回は関西だけのデータを使いました。ですが、全国どこのデータを見ても同じような結果がでるでしょう。これは関西だけの問題ではありません。全国的な問題でもあります。

電気が思うように使えない。この問題を解くことは日本の最優先課題なのだと私は再認識しました。

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