OSS の ERP という選択肢

ERP 市場の動向は?

以前、経済産業省の情報処理実態調査を参照して、日本の企業がどのような業務領域で情報化を進めているかを確認しました。

最近では既存製品を活用する場合が多いと思いますが、実際どの程度まで企業の各業務領域で既存製品が使われているかが気になりましたので調査してみました。その内容を簡単にご紹介しておきたいと思います。

また、ERP 市場の動向を調べるなかで、私が以前から興味のあった OSS の ERP パッケージという選択肢が現実のものになりつつあるのではないかという感触を得たので、その点についても触れてみたいと思います。

競争的な ERP パッケージ市場

ノークリサーチが中堅・中小企業を対象に ERP パッケージの導入実態調査を行っています。今回はその調査を参照して議論を進めたいと思います。

以下は、同社の調査結果をもとに筆者が再構成してみたグラフです。

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このシェアのグラフを見て即座に分かることは、ERP パッケージ市場は典型的な競争的市場であるということです。トップシェアが 14.9% ということは、それ以上のシェアを持つ製品はありません。また、その他に含まれている個々の製品が 3.4% 以上のシェアを持つこともありません。とんでもなく競争的な市場です。

一般的に言って、新規参入が容易であったり製品差別化が効きにくい場合に市場は競争的になります。また、規模の経済性が期待できない場合も競争を生みやすい一因となります。ERP パッケージの市場というのは、このような特徴を全て兼ね備えています。ですから、これだけ競争的な市場になっているのでしょう。まさに教科書通りのお話です。

市場が競争的であることはベンダーにとっては悪夢なのですが、製品を購入する側からすれば福音です。選択肢がたくさんあるので気に入った製品をリーズナブルな価格で選ぶことができます。実際は多すぎて製品選定するだけでも結構な手間がかかってしまうのですが、それは(購買側から見れば)嬉しい悲鳴というものです。世の中、独占的な企業から高い価格で製品を買わないといけない場合があることを思えば、実に贅沢な話です。

OSS の ERP という選択肢

さて、興味深いのは独自開発をする企業も結構あるという点です。17.6% の企業が独自開発を行っています。自社のビジネスプロセスが競争優位の源泉になっている場合、このような選択をするのは合理的です。その場合、手間もかかるしお金もかかりますが見返りは大きくなります。

さらに興味深いのは OSS の ERP パッケージをベースに独自開発をしている企業が総計で 6.1 % もあるということです。ERP を導入するのは結構お金がかかります。大抵の場合、独自開発が必要であったとしてもコスト削減を検討しなければなりません。そのようなケースで OSS の ERP パッケージを選ぶことは、なかなかに賢明な選択だと思います。

ただ、OSS をベースにカスタマイズするのは、相当骨が折れる作業です。以前、私は海外製 OSS の ERP パッケージをローカライズすることを検討したことがあります。ですが、ベンダーサイドとしては全くペイしないという判断に落ち着いて断念しました。そりゃそうです。これだけ競争的な市場なので、頑張っても収益を生み出すことは難しいからです。ですが、ユーザサイドとしては、そもそも外販を考えるわけではないでしょう。なおかつ自社にベストマッチな解が得られるとするならば、OSS の ERP パッケージの活用は十分に魅力的な選択肢になると思います。

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