数字で見るスペイン経済のヤバさ

スペインの反緊縮財政デモ

今、スペインでは緊縮財政に反対するデモが行われています。首都マドリードでは 10 万人以上のデモ参加者がいるそうです。また、スペイン全土の 80 都市でデモが行われているそうです。

私はこの現象をとんでもないことだと思っています。

危機感を覚えたのでスペイン経済の実態を調べてみました。確かにスペインの経済はかなりヤバそうです。

悪化するスペイン経済

スペインの数字を追いかけていく限りでは、一見したところ、急激に経済が悪化しているようには見えません。EU 全体から見れば GDP の伸びは相対的に良くないものの、かろうじて対前年で経済成長しているように見えます。

BL201205-24-01.png

しかしながら、もう少し詳しく数字を追いかけていくと、政府支出の大幅カットが見えてきます。また、これは想像ですが、それに伴う公共支出のカットがあるのではないかと考えられます。その数字が建設業の資本蓄積が大幅に減っていることに表れてきています。

BL201205-24-02.png

また、国内需要が今一つな半面、輸出の伸びが非常に顕著になっています。国内需要が減退するなか輸出企業が国内販売から国外への輸出に切り替えているのでしょうか。とにかく、国内需要が一気に減った分、余った超過供給能力が国外に向かっていることが読み取れます。その結果、国内需要と国外需要のバランスが急激に不安定になっています。

BL201205-24-03.png

さらにスペイン国内と需要と供給のアンバランスはデフレとなってスペインに襲いかかっているようです。日本と全く同じ構図です。

BL201205-24-04.png

日本に比べればまだましかも知れませんが、確かに CPI の数値は右肩下がりになっています。モノの値段が下がってきている。明らかにデフレの兆候を見せています。

新規採用だけでなくリストラも進む?

さて、スペインの失業率のお話です。確かにスペインでは 20 % を超える失業率になっています。特に若年層では過半数が仕事にありつけない状況になっているという情報は日本でも流布されています。

BL201205-24-05.png

BL201205-24-06.png

しかしながら、スペインの失業問題はそれだけではないようです。表を見る限り、新規採用だけではなく今まで仕事があった人たちまでも(恐らく)リストラによって次々と職を失っていることが分かります。最初は新規採用の抑制をしたのでしょう。しかし、それだけでは足らず、今まで雇ってきた従業員のリストラにまで手をつけているという構図ではないかと想像できます。

新規の職だけではなく、既存の職も失われているということです。

緊縮財政に耐えられないスペイン国民

大恐慌時のアメリカでの失業率は 25 % にも達したそうです。スペインの失業率の数字はアメリカ大恐慌時の数字に匹敵するものです。これだけでも恐ろしい状況です。

おまけに誰もモノを買おうとしない。普通に暮らしているスペインの国民はモノを買えません。だって、仕事が無いんだから買えるわけがない。それに同調してスペイン政府もモノを買おうとしません。お財布の紐を締めたままです。

「俺たちはモノを買えない。だから政府がモノを買え!」

スペイン民衆の怒りは頂点に達しているようです。そして、欧州は緊縮財政と財政出動の間でまだまだ揺れ動くことになりそうです。

※ 本稿で示した数字は全てスペイン政府の発表資料によるものです。INE というスペイン政府機関が 4 月に発表した資料をもとにしています