ハッカーに戻る、それは素敵なこと

Mark Zuckerberg について

facebook の IPO 騒ぎは、もう幕を閉じたのでしょうか。同社は 2012/05/18 に IPO を果たしました。160 億ドル程度の資金調達だそうです。

そんな中、facebook の CEO / Mark Zuckerberg に関する面白い記事を見つけました。

ブルームバーグ / 「ハッカー」に戻ろう-フェイスブックCEOが秘める決意 (2012/05/18)

同氏は 22 歳の時にプログラミングを断念したそうです。それは能力や才能が無いからではない。日増しに巨大化していく facebook そのもののマネジメントに専念する必要があったからです。私には同氏が断腸の思いでプログラミングを捨てたことが痛いほど理解できます。それは私と同じだからです。

この記事を読んで、私は結構感動しました。そうか、Mark Zuckerberg もプログラミングが大好きなんだな、と。私は Mark Zuckerberg の事が少し好きになりました。

したいけど、できない

同氏と同じような選択を余儀なくされる人は日本にもたくさんいます。

コードを書きたいがために IT 業界に入ってきたけれど、プログラマの地位の低さに愕然とする人もいます。彼らは IT 土方と呼ばれて蔑まれているという悲しい現実があります。待遇もそれほど良くない。(*1)

プログラムを書きたいにもかかわらず、不本意にも営業に回される人だっています。私は営業という職種は結構面白いと思いますが、一度、営業に配置換えされた人に「営業もやりがいあるでしょう?」と聞いて、苦虫を噛み潰したような顔をされたことを私は鮮明に覚えています。思えば実に無神経な言い方をしたものです。その人は、本当はプログラムを書きたくて仕方が無い。その人にとって、営業は不本意な仕事だったのです。

これは世界中どこでも同じなのかもしれませんが、本当にやりたいプログラミングに没頭させてくれる環境というのは、まず日本にはありません。大抵の仕事というのは、企画、設計、調整、管理、だいたいこんな感じです。私はこれらの仕事も好きなのですが、大抵のプログラマには不人気なようです。これらの職種では面白みを感じるポイントが全く違うので、プログラマの気持ちも分からなくもありません。

普段、陰鬱な顔をしながら仕事をしている中間管理職の人たちも、いざコンピュータいじりの機会が与えられると目の色が変わることがあります。私は何度もそういう場面を見てきました。そして、いつもこう思うのです。「この人は本当はコンピュータいじりをしていたいのだな」と。

Google などでも状況は同じようで、地位が上がれば上がるほどプログラムを書かせてもらえなくなるようです。高いポジションにある人は普段ストイックに数字とにらめっことかをしているわけです。ですが、内心はプログラムが書きたくて書きたくて仕方が無い。Google なんかでは「俺にもコードを書かせろ!」という言葉が喉元まで出かかっているマネージャは結構いるらしいです。

任天堂の岩田社長も同じような感じの隠れプログラマです。同氏もプログラミングが大好きなようですが、任天堂のかじ取りを任されて、表向きは社長業をしている事になっています。ですが、この人、実際は筋金入りのプログラマで、土日になると嬉々としてプログラミングに励んでいたそうです。私には、このような二つの仮面を使い分けないといけない辛さがよく分かります。

ハッカーに戻ろう

一度、プログラミングの面白さが分かってしまうと、そこからはなかなか抜けられるものではありません。プログラミングは極めて中毒性の高い遊びです。本当に面白くて面白くて仕方がない。

ですが、なかなか面白いだけで仕事をすることはできません。どうしても別の仕事もしなければいけない。そして、次第にプログラミングから遠ざかってしまいます。あれだけ熱中して必死になって過ごしたコード書きの時代の事を忘れてしまう。私にもその傾向があります。

そんな人が多い中、Mark Zuckerberg の今回のハッカー回帰宣言は実に羨ましい。そう思う人も多いのではないでしょうか。「僕は雑用なんてまっぴら御免だ!僕はコードが書きたいんだ!」同氏の主張はこういう心の叫びだからです。同氏の叫びに心が震えないプログラマはいないと思います。私は同氏の宣言にコミットします。そうして、同氏と同じような振る舞いをする人がもっと増えてほしいと感じます。

ハッカーに戻る、それは素敵なことです。

(*1) ただ、この点に関しては少しヒントを出しておきます。プログラマって本当は蔑まれていません。世の中にはプログラムを書けない人っていっぱいいます。プログラムを書けるというのは実は特殊な才能なんです。だから、IT 土方という蔑称はプログラムを書けない人の僻みなんです、本当は。もっと自信を持ちましょう。

「プログラミングなんて誰でもできる仕事だからね云々」このような言い草を聞いたことはありませんか?本当は、この言い草こそが僻みの表れなんです。これはルサンチマンなんです。それが証拠に、プログラミングの才能が無い人たちしかこういうことは言いません。