大阪のオフィス賃料は何故下落が止まらないのか?

大阪にオフィス街をまだ作る?

先日は大阪・梅田の北ヤード再開発のことにちらりと触れました。そこではオフィス街を作っても賃料下落が続くんじゃないかという見方を提示しました。そんなことを書きながら、「そう言えば大阪のオフィス事情はどうなっているのだろう?」という疑問が私の中で湧いてきました。実際、大阪のオフィス事情を調べたことはなかったのですね。

ここでは少し大阪のオフィス事情を調べてみましょう。

下落し続けるオフィス賃料

オフィス周りの調べ物をするときは三鬼商事のデータが役に立ちます。まず、オフィス賃料のトレンドから確認していきましょう。

BL201205-47-01.png

ひとまず、リーマンショック以降のトレンドが見たかったので 2008 年以降のデータを参照してみました。はい、予想通りですね。大阪のオフィス賃料は下落し続けています。止まる気配がありません。まさにブレーキの壊れたジェットコースター状態です。

オフィス賃料が下落すると言うことは、単純に考えれば需要と供給のバランスが崩れているからだと考えられます。そこで、このグラフではオフィス供給量の指標として、総延床面積を表示してみました。

このように見てみると、大阪のオフィスの供給量は増加しています。リーマンショック以降もオフィスの供給量は増え続けています。オフィスビルなんて、不況が来たからと言って簡単に工事を取りやめなんてできないでしょう。作っちゃったものはしようがない、というわけです。とりあえず作ったはいいけど誰も買わない。だから、オフィス賃料が下落していると考えられます。

ですが、データをもっと詳しく見ていくと単純にそれだけとは言い切れないのです。大阪の場合、供給超過もさることながら、実はオフィス需要の側も興味深い動きをしているのです。

意外と減らなかった大阪のオフィス需要

リーマンショック以降の大阪のオフィス需要は実際どの程度だったのかを検証してみましょう。

三鬼商事の公表データからは平均賃料と正味の貸室面積が参照できます。少し乱暴かも知れませんが、この積を求めてみます。この値は大阪全体で見たときのオフィス需要を表すことになると考えられます。

BL201205-47-02.png

ただ、このようにして求めた金額は名目金額です。今は思いっきりデフレなので補正してやらないといけません。ここでは GDP デフレータの値を使って、実質的な需要を算出してみました。デフレータで割り引いたのですね。その値もグラフに記載してみました。

このように実質的な需要を算出してみると興味深いことが分かります。確かにリーマンショック以降の変動はありますが、ここでは外れ値と考えましょう。そうすると 2011 年以前までは、大阪のオフィス需要は横ばいと言っていい状態だったことが分かります。実は思った以上に大阪のオフィス需要は減退していなかったのです。ですが、2011 年以降、そのトレンドも怪しくなってきます。じりじりと減退傾向になっているのです。

大阪のオフィス事情を巡る解釈

大阪のオフィス賃料は一貫して下落し続けています。今までの考察をまとめて見ると、この現象に対しては実に興味深い解釈が成り立ちます。

すなわち、2011 年まではオフィスの供給超過によって賃料下落が発生したが、2011 年以降はオフィスの需要減退によって賃料下落が起きている、という解釈です。ここでのポイントは、同じオフィス賃料下落であってもその要因が異なるということです。

何故、オフィス需要が減退するかと考えると、大阪でビジネスをする旨みがないと考える人が増えてきたということだと思います。単純に考えるとそうなるのではないかと思います。大阪は儲からない、だから大阪でビジネスする気がない、だからオフィスも要らない、と。では、何故大阪は儲からないと考えるかというと、やっぱり、大阪を含めて関西全体の「お財布の数と中身」の問題に行きついてしまうと私は思うのですね。

あまりネガティブなことばかり言うのもよくないのですが、大阪に来るものがとうとう来ちゃったのかなぁ、と感慨深くなります。

こんな状況でオフィスビルなんて一生懸命作っても本当に大丈夫なのかなぁ…。心配になってしまいます。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする