海外脱出をする前に考えておくべきこと

海外脱出という若年層への処方箋

前回は若年層が少子高齢化の日本でどうやって生きていけばいいのかについてエントリを書いてみました。そこで言いたかったことは、まだまだ国内で頑張る手もあるよということです。ですが、本当は別の解決策もあります。海外脱出という処方箋です。

私は若年層が日本を見限って海外脱出を画策するのは悪いことではないと思います。何故なら、それは実に合理的な解決策だからです。こう言っては何ですが、今の日本に絶望するのは「まともな感性」だとすら思う。今の日本は本当に情けない。何でこんな国になってしまったのですかね?日本を捨てて新天地に出かける彼らを攻める気に私はなれません。

正直に言いますが、私も日本に絶望している面があります。これも正直に言いますが、私の基本戦略は海外展開です。海外に出ていくというオプション(選択肢)を捨てる気はありません。これはまぎれもない事実です。私だって海外脱出予備軍なのです。

ですが、海外に出る or 出ないにかかわらず、今の日本をどうにかしないといけないという心境に私は傾きつつあります。

ちゃんとした分別のある人がアホの振りをするのは一向に構わない。「アホやなぁ」と笑っておけばいいのです。ですが、どうやら決してアホの振りをしているわけではなさそうなのですね。日本が「アホの振りをする賢い人」ではなく、「ほんまもんのアホ」であることが漸く私にも分かってきました。私は日本が「ほんまもんのアホ」であることに耐えられません。私はこの国をどうにかしたい…。

少し話がずれました。私個人の事は脇に置きましょう。若年層の海外脱出の件ですね。確かに海外脱出は魅力的な選択肢に見えます。ですが、そのデメリットも考えてみたことがありますか?

キーワードは “uncontrollable”

海外脱出のデメリットを彩るキーワードは “uncontrollable” というものでしょう。日本人に制御できないファクターが多すぎるのです。

海外脱出を考える一番大きな要因は海外の経済成長が魅力的に見えるからでしょう。日本は本当に経済が停滞してしまっていて経済成長の見込みがありません。ですが、海外はまだまだ経済成長の余地があるところがあります。先日もちらりと書いたのですが、ブラジルとかロシアとか面白いと思いますよ。また、東南アジアも魅力的です。私も東南アジアは好きな地域です。

ただ、日本人がそういうところに出かけて行っても、その国の経済政策に対する影響力を持つことはできないでしょう。たまたま流れに乗って経済成長ができている地域に行くと、当座は日本人も経済成長の恩恵を受けることができるかもしれません。ですが、少し風向きが変わってきた時に、外国人である日本人が、その国や地域の経済政策に影響を与えることはできないでしょう。

ですが、日本人である限り、日本に住んでいれば経済政策に影響を与えることができます。日本は曲がりなりにも民主主義の国です。政治的な対話を通じて日本人が日本人の手で日本の事を良くすることができます。経済政策だって同様です。日本人が日本経済を改善するように働きかけることができます。

また、経済成長が達成できたとしても、その次は分配の問題が出てきます。普通に考えて、日本人が海外に出かけて行って、その国の経済成長の果実をそうそう簡単に分配してもらえると思いますか?外国人である日本人の取り分が多くなるような制度設計が行われると思いますか?経済成長のための意見が通りにくいだけではなく、パイの分け前に関する意見は一層通りにくいのです。

結局、海外に出かけた日本人は現地から見れば etranger(異邦人) なのです。日本人が制御できるファクターは制限されてしまいます。すなわち、uncontrollable です。

Exit – Voice – Loyalty

Albert Hirschman という人は 「Exit, Voice, and Loyalty」という本を書いています。その主題のエッセンスを簡単に言ってしまえば次のようなものです。すなわち、何らかの社会的な問題に直面した時に「逃げる」という方法もあるし「話し合う」という方法もあるよ、と。そして、どちらか一方だけではなく両方をミックスして問題の解決策を考えた方がいいよ、と。

海外脱出は明らかに「Exit」戦略です。それは確かに間違った戦略ではありません。ですが「Voice」という戦略、つまり「話し合う」という戦略もあります。この国にあえて踏み止まって、社会の問題を解決するために多くの人たちと議論をして、世の中を変えていくことです。

そして、両者のハイブリッド型の戦略を練るというのがコクのある妙手ではないかなと私なんかは思ってしまうのです。