日本向け Kindle は買いか?

Kindle が日本にやってくる

何やら電子書籍リーダーの Kindle がいよいよ日本にやってくるようです。ただ、不思議なことに Kindle の話ってあまりニュースで扱われていないですよね?陰謀どころではなくあからさまな嫌がらせだとしか私には思えないんですが…。

昔から「電子書籍が来る!」と日本で何回も言われていましたが、そんなものは一向に来る気配がありません。最近で言うと、電子書籍がいよいよ来ると言われたのは 2010 年でした。丁度その頃というのは iPad の発売時期でした。今から考えれば世迷い言としか思えませんが、iPad の発売に合わせて電子書籍の波が来ると言われていました。私の周りでも iPad と電子書籍について熱く語る人がいましたよ。そういう人に限って判で押したように Twitter についても熱く語っていましたね。

私はそういう話を聞きながら「どうなのだろう?」と思っていたタイプです。その当時の私は Twitter ではなく Facebook に軍配を上げていました。周りが Twitter について熱く語る中で私だけは Facebook を使っていました。だって、冷静に海外の動向を観察していると、どう考えてもトレンドは Twitter ではなくて Facebook だったからです。

また、電子書籍という話で言うならば、本当に iPad と電子書籍のカップリングなんてうまくいくのかな?と思っていました。その当時、私は発売初期の iPad を買うか Kindle を買うかで悩んでいました。電子書籍そのものには興味があったので、ちょっと投資してみようかなと思ったのですね。結構悩みましたが、最終的に私が選んだのは Kindle でした。今でもこの選択は正解だったと思っています。

Kindle は良い端末だと私は思っています。また、「本を買って快適に読む」という一連の流れをトータルにコーディネイトしてくれる Amazon のサービスも気に入っています。ですが、それでもやっぱり日本版の Kindle は、うまく行かないんじゃないかなと私は思うのです。

電子書籍不毛の地=日本

何故うまくいかないと思うかというと、それは日本が電子書籍不毛の土地だからです。

本の出版と流通に関して、日本というのは独特の文化があります。私もよく分かっているわけではないですが、出版社、卸(取次)、小売(書店)という縦のつながりが非常に強固になっているようです。この生態系は「紙の書籍」を扱うことを前提としたシステムなのだと思います。そんな生態系を自分たちで破壊するなんて、普通に考えればするわけがないと思います。

そもそもコンテンツを握っている出版社にとって書籍の電子化を進めるインセンティブなんて全くありません。出版社から見れば書籍の電子化なんてやりたくないのです。出版社から見れば、電子化をすれば著作権の管理が面倒になるだけです。また、複製に必要な限界費用がゼロ、つまり幾らコピーしてもタダというデジタルデータの恐ろしい特徴は出版社にとって脅威以外の何物でもありません。コンテンツを握っている人たちが電子書籍という土地を耕して種を撒こうとしない限り、日本の電子書籍市場がまともに立ち上がることはないと私は思うのです。

ただ、冷静に考えれば、日本の書籍が全て電子化されなくても、実は読者側にとってもそんなに困る話でもありません。日本の場合、あちこちに大きな書店があります。本が手に入らなくて困るということはない。価格の問題はあるかもしれませんが、古本屋とかで調達すれば良いですし、さらにケチるならば図書館に行けばいいです。図書館、結構楽しいですよ。あと、個人的に言えば、下手に生態系を乱されて「こんなの商売だけを考えれば普通は絶版になるわな」という本でも細々と書店に並んでくれた方が嬉しいです。

結局、ここで言いたいことは、日本の電子書籍市場は不毛な状態が続くだろうということです。コンテンツが揃わないのに Kindle という端末だけあっても実にお寒い話です。

外国語で情報を拾う人には Kindle は GOOD

では、Kindle なんて買っても意味がないのか?というとこれまた微妙なんですね。ある特定の人にとって Kindle は非常におススメです。

まず、英語で情報を拾っていく覚悟を決めた人にとっては Kindle はおススメです。何といっても Kindle Edition の書籍って安いんです。英語で書かれた本でも紙ベースのものと Kindle Edition のものを比べると 6-7 割程度になってしまう場合があります。おまけに翻訳版を買うことを考えてしまえば、もっと安くなってしまいます。

ちょっと試算してみましょうか。私が買った本の中で O’Reilly の Learning Python(邦訳:初めてのPython) という本があります。この本は翻訳版だと \4,830 します。ですが、英語版だと Paperback の場合は $32.99 です。これが Kindle Edition だと $22.79 になってしまいます。この記事を書いている時点で、JPY/USD が 78.02 ですから Kindle Edition だと \1,778 です。いかがですか?英語で情報を拾う覚悟を決めた人にとっては、もう馬鹿馬鹿しくて翻訳本なんて買えなくなります。

さらに Kindle の場合、すぐにデリバリしてくれるというメリットもあります。日本語の書籍を買う場合には問題はありませんが、英語の本を買う場合には大きなメリットになります。ここでも、英語で情報を拾う覚悟が効いてきます。日本語は要らない英語があればいい、と腹をくくった人にとっては Kindle は強い味方になってくれます。洋書って入手そのものが手間暇かかるわけですから。

あと、語学を勉強中の人にもおススメできます。Kindle では、フランス語、ドイツ語、スペイン語あたりで現地の新聞を読むことができます。私も一時期やっていました。ちょっと割高かなと感じたので止めてしまいましたが…。辞書を引くことだってできます(ただし、辞書購入の必要あり)。ここでも英語版の辞書になってしまいますので腹をくくる必要があります。

さすがに私はやりませんが、日本の紙の新聞を捨てて、日本の新聞の英語版を Kindle で読むという手もあると思います。英語版で良ければ、世界各国のかなりの地域の現地版英字新聞を読むことができます。

結局、日本語以外の言葉で書籍や新聞を読みたいという人にとっては Kindle はとても魅力的な製品です。ですが、日本語にこだわりがある人にとっては、余り魅力のあるものではないでしょう。先ほども言ったように、日本語のコンテンツが揃ってこないだろうから、です。

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