ケルトの虎が猫になった日-アイルランド財政破綻の軌跡-

アイルランドを知る

少し前にアイルランドの EU 財政協定批准の国民投票についてお話をしました。そこでは、景気後退局面で緊縮財政を受け入れるという、ちょっと M 気質なアイルランド(失礼)という描写をしてしまいました。

ですが、アイルランドってどんな国なんでしょうか?実は私自身もよく知らないのです。イギリス本国の隣の島、Sinn Fein 党なる過激な政治政党、その程度しか知らないのですね。ここではアイルランドがどんな国なのかを経済的な視点から見ておきたいと思います。

アイルランドの人口

まず、少し脇道にそれますが、アイルランドの人口から見ていきます。ざっくり言って 450 万人程度(2012)ですね。しかも、2000 年頃から安定して人口は増加傾向にあります。グラフで見るとかなり増えているように見えますがスケールの問題です。2000 年から 2011 年で言えば、毎年 1.6 % 程度の増加率になっています。減らないよりも全然マシですね。

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アイルランドの財政破綻への道のり

アイルランドは 1990 年代に入ってから、EU への加入とアメリカからの外資参入によって大きく経済成長を果たしたそうです。ついたニックネームは「ケルトの虎」。主として工業製品を海外に輸出することで経済成長を果たしてきたようです。政府の支援もあって、DELL, Intel, Microsoft などの外資系企業が進出してきました。ハイテク製品の工場ですね。

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確かに名目 GDP の伸び方は素晴らしいです。綺麗な右肩上がりです。名目ベースですが、2000 年から 2007 年までの平均成長率は何と 8.7% もあります。これは中国並みの経済成長率です。「ケルトの虎」の異名は伊達ではありません。

ですが、そんな「ケルトの虎」も内部ではある病気が進行していました。バブルという名の病気です。世界中、どこの国も同じなのかもしれませんが、アイルランドも製造業で稼いだ金を不動産に突っ込むなどしてバブルが形成されていたようです。それは数字にも如実に表れています。

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鉱工業の数字と比較して、建設業、不動産の数字の伸びの方が大きくなっていますね。これは製造業から金融へのシフトという流れの中で起きた現象でしょう。アイルランドでバブルが生じていたことの証左です。

ですが、悲しいかな、バブルはいずれ終焉を迎えます。アイルランドも例外ではなく、リーマンショックと軌を一にしてバブルが弾けてしまいました。そうなると不動産価値が大きく下がり経済にも大打撃を与えます。GDP もずるずると下落を始めます。絶好調だったはずのアイルランドにも不景気の波がやってきてしまいました。上記のグラフの 2008 年以降の動きは、その辺りの事情を如実に物語っています。

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そうなると当然のごとく失業率は上がって行きます。2008 年までは、概ね 4% 台の低い失業率を誇っていたアイルランドですが、2008 年以降の失業率は一気に悪化してしまいました。失業率は 14% を超えて、いまだに改善する気配がありません。

そんな中、アイルランドは財政再建の目途が立たず白旗降参してしまいました。そうして、先日の EU 財政協定批准の国民投票が行われ、敢えて緊縮財政を受け入れる決断をアイルランドの人たちは行ったのです。

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