欧州危機に備える日本企業

気になる日経新聞の記事のこと

最近、気になる記事を見つけました。日本企業の無借金経営化が進んでいるとのことです。おまけに、欧州危機に備えて借金の返済に躍起になっているらしいです。

上場企業、半数が無借金 11年度末、欧州不安を警戒[日本経済新聞 2012/06/04]

この記事、本当かなと思う部分もあります。裏取りのために日銀のページで銀行貸出残高を調べてみたのですが、残念ながら直近のデータは見つかりません。どうしてもタイムラグが出てしまうのです。だから、まさに今、日本企業がしゃかりきになって借金返済しているという直接的な検証はできません。ただし、傍証なら幾つかあります。

日経平均と長期金利の下落

まず、何故、企業は一生懸命に借金の返済を急ぐのでしょうか?それは単純に考えれば、投資機会が失われつつあるという判断があるからです。欧州危機が本気で炸裂してしまえば日本経済もただでは済みません。確実に不景気の波に飲み込まれることでしょう。そうなれば、企業としても事業への投資どころではなくなってしまいます。そのような見込みがあれば企業は借金返済に走るはずです。

投資機会が失われることは企業側だけの話ではありません。投資家も同様な判断をします。すると、投資家はリスク資産である株式から安全資産へのシフトを考えます。つまり、株価が下がります。

また、企業から借金を返された金融機関としても非常に困るわけです。お金なんて握っていても仕方がない。お金と言うのはある意味でババ抜きのババみたいなものです。握り続けることは許されません。民間企業に「お金は要りません」と言われてしまえば、金融機関としては国債でも買うしか手がありません。すると国債の金利が下がっていく。

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上図は日経平均と長期金利の推移のグラフです。これを見ると確かに不穏な動きをしています。

日経平均は 4 月頃から下落の一途を辿っています。これは、将来の有望な投資機会が失われていることの証左でしょう。投資家のマインドは随分と冷え込んでいますね。今年に入ってから 3 月末あたりまでのイケイケ感がすっかり冷めてしまっています。

また、長期金利についても微妙にトレンドの変化が見られます。今年の 4 月頃までは、やや下落傾向ではあるものの、1.00% 強程度の金利水準になっていました。ですが、4 月になってからのトレンドは確実に下落傾向ですね。これは金融機関が国債に資金を回していることの証左ではないかと思います。

嵐は本当に来るのか?

誰しも欧州危機が現実になることを恐れています。誰しもが将来の投資機会に信頼を置けなくなっている。だから、投資家は株を売ります。そして、企業は借金返済に走ります。さらに金融機関は国債に資金を振り向けざるをえない。どうやら、企業が借金返済を進めているというのは信憑性がありそうです。

欧州危機は本当に現実のものになるのでしょうか?こんな嵐は来てほしくありませんが、好き嫌いにかかわらず、来る時は来てしまうのでしょう。嵐に対する備えだけは怠らないようにしないといけないのかもしれません。