景況判断 BSI との程よい付き合い方

大企業曰く「景気悪い」

日経新聞の記事を読んでいると、こんな記事を見つけました。大企業の景況判断としては「悪い」という回答が「良い」という回答を上回っているとのことです。

大企業景況判断指数、3四半期連続の悪化 4~6月 マイナス3.1[日経新聞 : 2012/06/11]

実際、私も内閣府のページに行って調べてみましたが、確かに大企業の景況判断は「良くない」というもののようです。値が 0.0 を上回っていれば「景気が良い」と答えた企業が「景気が悪い」と答えた企業を上回ったことを意味します。直近の3時点を見ると、確かに 0.0 を連続して下回っています。

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私は初めてまじまじとこの指標を眺めてみました。最初は「なるほど」と思っていたのですが、指標を見れば見るほど「ん?」と思う所がでてきます。この指標、なかなか使いどころが難しそうです。

景況判断 BSI を詳しく見てみる

中小企業の場合の景況判断 BSI はどうなっているかを見てみましょう。

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凄いですね。中小企業に関しては、過去 1 度も景気が「良い」と答えた企業が「悪い」と答えた企業を上回ったことがありません。ですが、実際にはリーマンショック前の日本というのは景気が良かったのです。デフレで実感はないかもしれないですが、過去のデータを見てみると、日本の実質 GDP は曲がりなりにも成長していました。これは当時の景気が良かったということに他なりません。

さらに販売価格判断 BSI と仕入価格判断 BSI についての調査結果も見てみましょう。販売価格判断 BSI とは、販売価格が「上昇している」という回答から「下落している」という回答を差し引いたものです。同様に、仕入価格判断 BSI というのは、仕入価格が「上昇している」という回答から「下落している」という回答を差し引いた値です。

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このグラフを見ると、過去から現在にわたるまで一貫して「販売価格が下がっいて困っている」という企業の悲鳴が聞こえてくるようです。ところが、仕入価格については「値上がりが続いて困っている」と言っている。そんなことはないだろう?と思うんですが…。

販売価格というのは裏を返せば仕入価格です。一方で「買い叩かれて困っている」と言うのであれば、もう一方では「買い叩いて得をしている」人がかならずいるはずなのです。だから、この調査結果には直接表れてはいませんが、「お客さんに買い叩かれるけど、こちらも仕入先を買い叩くのでお互いさま」というのが実情ではないかと思います。

こういう所を見ていても、景況判断 BSI については「ん?」と思わざるをえません。

景況判断 BSI は「人の心」を写すもの

では、この景況判断 BSI は使い物にならない指標なのでしょうか?いえいえ、それは極端というものだと私は思います。

この景況判断 BSI は質問票調査なので、どうしても人の主観が入り込んでしまうものでしょう。それは「人の心」までも映しているのです。この指標は、人々の経済に対する物も見方までもが反映された指標だと考えたほうがよいのではないでしょうか。

考えようによっては、この点は大きなメリットです。景気という言葉には「気」という文字が入っています。これは一面の真理を突いているのではないでしょうか。結局、景気というのも人間の気持ちの問題も大きいのではないかと私は思います。日本の場合、本当は経済的にそれなりの状態であったとしても、デフレの影響で人々のお給料(実質賃金)はあまり上がりませんでした。ですから何だか得した気がしなかったのではないですか?このような人々の「気」の側面も、この指標には盛り込まれている。人々の「気」を読み取ることができるのは、この指標の大きなメリットです。

景況判断 BSI、この指標は「人の心」を引き算した上で見る分には有用な指標だと私は思います。

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