「諭吉」の冒険

「諭吉」の旅立ち

読者の皆さんは不景気ライフを存分に楽しんでいますか?中にはウハウハで仕方ないという人もいると思います。株の空売りとかをしている人は儲かって仕方がないのかもしれません。ですが、それはほんの一握りの人でしょう。大多数の人にとって不景気は楽しいものではありません。

普通の感覚であれば、不景気がやってくればお財布の紐を締めます。羽振りが良かった時期ならば衝動買いしたかもしれないものでも、不景気がやってくれば熟慮してからお買い物するようになるはずです。お小遣いを削られてしまったパパも一杯います。世のパパたちは本当に頑張っているんですよ。子供の知らないところで、お昼はカップラーメンとおにぎり一個みたいな生活をしているパパは一杯います。

このご時世、普通はそうやって出費を切り詰めます。そして、何とか月々の収支がマイナスにならないようにやり繰りするわけです。では、毎月の余った「諭吉」はどこに行くでしょうか?普通は銀行に預けることになると思います。

では、銀行に預けた虎の子の「諭吉」は、その後どのような境遇に置かれるのでしょうか。少し追いかけてみましょう。

銀行員「諭吉」

人々の預金をかき集めた銀行は帳簿を眺めながら頭を痛めていました。銀行は「諭吉」の豊作貧乏といってもいい現象に悩まされていました。「諭吉」の仕入はバッチリでも全然「諭吉」が売れないのです。

数年前から、銀行には仕事のない「諭吉」がたむろするようになりました。預金者は浮かない顔をしながら「諭吉」を連れてきます。話を聞くと、うちの可愛い「諭吉」を手放すのが実に惜しいということのようです。うちの「諭吉」はやればできる「諭吉」と力説する預金者すらいます。そうして、何とかうちの「諭吉」に仕事を見つけてやってほしいと言うのです。銀行の側としても、そこまで言われれば「諭吉」の仕事を斡旋せざるをえません。

その一方で、いままで順調に「諭吉」が仕事をしていた会社から「諭吉」を返したいという申し出が相次いでいます。よくよく話を聞くと、確かに今まで「諭吉」は一生懸命わが社に尽くしてくれたと言います。ですが、とうとう「諭吉」の仕事がなくなってきたということのようです。銀行は一生懸命に、この「諭吉」は本当に優秀ですから何とか使ってやってくださいと融資先を説得しました。ですが、融資先は「いやいや「諭吉」にさせる仕事が無いのだ」の一点張りです。やむなく、銀行は「諭吉」を引き取ることにしました。

そうかと思えば、「諭吉」不足で困っている人がいるという情報をキャッチしました。早速、銀行は「諭吉」を連れて営業に行くことになりました。そこで話を聞く分には本当に「諭吉」不足が深刻なようです。銀行はよくよく値踏みしました。そして、この会社ならば、うちの「諭吉」を大切に扱ってくれるに違いないと確信しました。取引成立です。早速、多くの「諭吉」が送り出されました。

しばらくして銀行は送り出した「諭吉」の近況を聞く機会がありました。お前は今どこにいるのか、と銀行は尋ねました。中国にいると多くの「諭吉」は答えました。何やら不動産関連の仕事をしているようです。中国の不動産関連の仕事は結構危険だという話も聞いていたので銀行は少し不安になりましたが、これも仕事なので仕方ありませんね。他の諭吉にも聞きましたが、どうやら、韓国、アメリカ、インドネシア、インド … とにかく世界中に行っているようです。1人も日本国内で仕事をしている「諭吉」はいませんでした。

これだけ頑張っても、銀行にはまだまだ仕事のない「諭吉」が一杯いました。どうしたものかと考えていると、国が「諭吉」向けの仕事を募集しているという話を聞きました。銀行は少し躊躇しました。あまり、割の良い仕事ではなかったからです。ですが、曲がりなりにも政府相手の仕事です。手堅いことに変わりはありません。銀行は売れ残った「諭吉」を大量に国に預けることに決めました。

国家公務員になった「諭吉」

今日から「諭吉」も国家公務員です。中には日本のために働けることに喜びを感じる「諭吉」もいます。左向きでブツクサ文句を言っている「諭吉」もいるようです。ですが、仕事、仕事!
早速配属が決まった「諭吉」がいるようです。何やら IMF というところで研修を受けてから世界各地に出向するという話です。他にも、アメリカに出張になった「諭吉」がいます。中国で仕事をする「諭吉」も大勢いるようです。どうやら、海外での仕事が多いようです。

国内の仕事は無いのですかと、ある「諭吉」が職員に尋ねました。ですが「国内の仕事はあんまりないんだよね」という答えしか返ってきません。ただし、「東電」というところだけは例外的に仕事がたくさんあるそうです。とはいえ、仲間内では「東電」の仕事は敗戦処理だよというのがもっぱらの噂です。「東電」の応援部隊に回されそうな「諭吉」は内心びくびくしています。どうやら、日本国内で「諭吉」が活躍できそうな余地はあまりないようですね。
それから、最近よくない噂が流れています。何やらギリシャに現地駐在している「諭吉」が多数音信不通になっているとか。そうかと思えば、スペインやイタリアの仕事が最近増えているようです。職員は「なぁに簡単な仕事だよ」と笑って言います。ですが、仲間内で「あそこだけはヤバい」と囁かれているのは公然の秘密です。今日も、多数の「諭吉」が欧州に向けて飛び立って行きました。

「諭吉」の無事を祈ります

「諭吉」は今も世界中で働いています。ですが、本物の福沢諭吉は泉下で日本国内の意味ある仕事ができないことを嘆いていることでしょう。私も海外で活躍する「諭吉」たちが無事に日本に戻ってくることを心から願って止みません。

その「諭吉」はあなたの「諭吉」でもあるのですよ?

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