Microsoft 垂直統合モデルの脅威

Microsoft のビジネスモデル

以前から、このブログでは Microsoft のビジネスモデル転換のお話をしてきました。Microsoft が自前でタブレットを作り始めたということはビジネスモデルの転換であるというお話です。今までソフトウェアに徹していた Microsoft がハードウェアも手掛けるようになるという垂直統合型のビジネスモデルへの転換です。

このお話は結構ハードウェアメーカーにとっては衝撃的でした。何といっても、いままで純然たるパートナーだった Microsoft が突如として商売敵になってしまうということだからです。そのため、Microsoft が自前でタブレットを手掛けると言う話はかなり話題になりました。ハードウェアメーカー各社は戸惑いを隠せなかった様子です。

とはいえ、この動きは本当にハードウェアメーカーだけが対応を考えるべき問題なのでしょうか?この先にある展開を考えていくと、事は単純ではないような気がするのですね。

Microsoft が SIer になる日

確率は低いと個人的には思っていますが、Microsoft が SIer に近いことを始めるシナリオも考えておかないといけないのではないかと思います。つまり、Microsoft が ユーザ企業に対して積極的に営業・コンサルを行い、利用方法を提案するようになるというシナリオです。あまつさえ、ユーザ企業と共同でシステム開発を進めるというシナリオ … SIer にとっては悪夢としか言えないようなシナリオです。

Microsoft は既にそのビジネスモデルを実現するだけのリソースを多数持っています。Microsoft は OS を持ち、DB を持ち、ERP パッケージすら既に持っています。開発ツールだって非常に洗練されたものを持っています。また、最強の Office ツール Excel も自前で持っているのですね。これらを駆使すれば、相当のシェアを稼げるようになるはずです。足りないものは、営業部隊とコンサル・実装部隊、あとはこういう泥臭いことに対する我慢強さ(!)ですかね。

これはユーザ側から見ても魅力的な話です。上から下まで Microsoft と共同でシステムの統合を図れるという安心感は何物にも代えがたいはずです。多数の業者の寄せ集めではなく、高度に統合された単一業者に魅力を感じるユーザは多数存在するでしょう。コストよりも品質に価値を置くユーザならば、垂直統合モデルに対価を支払うことは十分に考えられることです。そんなの大昔から存在するモデルでしょ?と言われればそれまでですが…。

ソフトウェアとハードウェアを買ってきて、糊でペタペタくっつけて顧客に納品していたような事業者にとってみれば、これは非常に脅威でしょう。糊でくっつける仕事を Microsoft がやり始めたら、かなりの強敵になることは目に見えています。

今までであれば、こういうシナリオは考えなくてもよかったことです。Microsoft は自分の生きる道に徹して、その檻から出てこないだろうとタカをくくっていれば良かったのです。ところが、今回、Microsoft は川上側のハードに手を出した。そうすると、川下側も警戒しておかなければならなくなってしまったのです。

もはや、その確率はゼロとは言い切れなくなってしまったのではないでしょうか。