歴史の大きな流れに逆らったオバマ氏と本流に回帰するトランプ氏

FTの記事を読んで

先月の終わり頃、英FT紙にこんな記事が掲載されました。

[FT]「オバマ大統領の世界」にさようなら

この記事を読んで、私はとても良い記事だと感じました。まず、オバマ氏の時代とは何だったのか?が簡潔かつ的確に書かれている点が良いです。それだけではなく、これから起きるトランプ氏の時代についても起きうる可能性の高い未来予想図が簡潔に示されている点が興味深いです。

オバマ氏の時代とトランプ氏の時代の境界線にいる私たちは読んでおいて損のない記事です。

知的過ぎたオバマ氏

この記事ではオバマ氏はインテリとして描かれています。インテリであるが故の弱さが容赦なく言及される反面、理想に燃えるインテリとしてのポジティブな姿も描かれています。インテリ指導者の光と影の部分を併せ持った存在としてオバマ氏は人々の記憶に残るのかもしれません。

確かにオバマ氏の行ってきたことは”弱さ”と見なされてもしかたがないものがあります。

オバマ氏はイランに対して大きく譲歩をしました。人は話し合えば分かり合えるはずだ、という信念が背後にあったのかもしれません。イスラム国に対抗するためという実利を得るために、オバマ氏はイランの核開発を実質的に黙認するような施策をとりました。

また、記事中でも書かれている通り、ロシアに対しても弱腰ととらえられかねない態度をとってきました。ロシアのクリミア編入の際にも、それから今のシリアの状況に対しても、オバマ氏は強硬な姿勢をとってきたとはみなされないでしょう。

そして、日本人から見れば、オバマ氏はアメリカ合衆国大統領として初めて広島を訪問した人です。オバマ氏の広島訪問は、核兵器廃絶という高い理想を掲げて今まで政治の世界に生きてきたオバマ氏の最後の締めくくりとして非常に象徴的です。

ですが、理想に傾きすぎであるが故に、オバマ氏の言葉には現実に対峙する時にその弱弱しさを露呈してしまいます。

世界標準としてのトランプ氏

インテリのオバマ氏と対極にあるのが次期アメリカ合衆国大統領トランプ氏です。オバマ氏がインテリとして高い理想に邁進しながらもどこか弱弱しいところがあるのに対して、トランプ氏は本能に根差した暴力的ともとらえられかねない振る舞いで猛威を振るってきました。

トランプ氏の持ち味は本能に根差した知性にあります。トランプ氏は伊達に不動産王になったような人物ではありません。すれっからしの煮ても焼いても食えない狸爺的なところがあります。置かれた状況に応じて素早く算盤を弾いて答を出す。ビジネスの世界にありがちな権謀術数の限りを尽くして勝利を目指す、そんな面倒くさいタイプの人間でしょう。

ただ、オバマ氏とトランプ氏を両天秤にかけてみたとき、世界を見渡してみれば、トランプ氏のような手練手管に長けた人間の方がむしろ標準的なものです。ロシアのプーチンにしても、中国の習近平にしても、一筋縄で行くような人間ではありません。そんな動物園の折の中で生き馬の目を抜くような争いを繰り返しているのが今の世界の実情です。

そんなデタラメな世界にあっては、トランプ氏の方がむしろ世界標準に合致していると考えてよいでしょう。

鉄火場としての世界

魑魅魍魎が跋扈する世界ではオバマ氏は確かにフラジャイルな存在だったかもしれません。そして、トランプ氏のようなやり方の方が世界標準であるが故に、案外、トランプ氏の方が世界中から歓迎されるのかもしれません。

世界は鉄火場です。この8年間、鉄火場であることを忘れることができるよう、オバマ氏は振舞ってきたのかもしれません。ですが、いくら世界を自分の望むように解釈しようとしても、世界はその姿を変えることはありません。鉄火場はいくら糊塗しようとも鉄火場に過ぎないのです。

オバマ氏の見せてくれたひと時の幻影を諦め、世界中の人々は血で血を洗う闘争の場としての世界に再び向き合う時が来たのかもしれません。

世界はより一層鉄火場の方に向かって進むのが歴史の大きな必然的な流れであるとすれば、それに逆らうことはオバマ氏を含め、何人も叶わぬことなのかもしれません。

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