IoTブームに乗じてIPv6は飛躍できるか?

IoTでIPv6は加速するか?

最近は猫も杓子もIoTだそうで。私もIoTには少なからず興味があります。

IoTといえば、TRONを主導してきた東大の坂村健教授のことを外すわけにはいかないでしょう。坂村健教授のTRONプロジェクトでは「すべてのものにコンピュータが組み込まれる未来」を夢見てきました。「交信能力を持った超小型チップをあらゆるものに入れて、実世界の状況を認識したコンピュータ群が、共同して人間生活をサポートする」というビジョンを1980年代から思い描いてきました。これって結構凄い執念だなぁと私なんかは思ってしまいます。

で、ありとあらゆるモノの中にコンピュータが入り込むとなるとお互いに通信できないとつまらないです。そんな大多数の機械を識別するためにはIPv6が必要ですねー、とばかりに IPv6 を担ぎたい人たちがここぞとばかりに売り込むという図式は想像するに難くないです。

でも、本当にIoTでIPv6が普及するのかなぁ?という疑惑が私の中では払拭できなかったりします。

IPv6の普及状況

今 IPv6 ってどうなってるのかをJPNICの資料で観察してみます。まぁ、一言でいえば、 IPv6 の普及は頭打ちってところですね。

graph-2-201606

このグラフは2016年6月時点のJPNICが管理するIPv6アドレス割り振り件数の推移です。このグラフを見る限り、2008-2009年頃から弾みがついて爆発するかなーと思わせぶりなカーブを描いていますが、2012年頃からトーンダウンしちゃってますね。

プロも本当はIPv6したくない

なんだか寂しい状況ではありますが、実際のところ、インターネットでサービス提供しているプロの皆さんも本音のところでは、IPv6にしたいとは思っていないようです。

ITPro に こんな記事が掲載されています。2015年04月02日の記事ですが、DMM.comラボやドワンゴの担当者によれば、同社のサービスはIPv6には対応していないとのこと。その理由は結局次のような点に集約できそうです。

  • サービスとしてIPv6に対応する必然性がない
  • IPv6にするとデュアルスタック対応が必要になり運用コストが嵩む

そりゃそうだろうなという話で、サービス提供者側がいくら IPv6 に対応したところでユーザが追い付いてこない限りメリットなんかありません。メリットがないにもかかわらず、複数のプロトコルスタックの面倒を見ないといけないわけでコスト増加要因にしかなりません。そんなもん、やらないよってことです。

IPv6普及への見果てぬ夢

やっぱり、IoT時代になってもIPv6は普及しないんじゃないかなと私は思います。その理由は凄く単純で、IPv6しなくてもIoTできちゃうからですね。

「どこでもコンピュータ」の思い描くような未来予想図ってのは理想的ではあるのですが、現実のIoTで一発当てようとしている人たちの思惑としては、そこまでの相互接続性なんてどうでもよくって、とりあえず自分とこのサービスなり機器が接続できればそれでOKみたいな志の低い姿勢しか取れません。だったら、IPv4でいいやん、となるのは必定なわけです。

そりゃ、純粋に技術論的な観点から見れば、技術者の堕落だ!ととらえられなくもないわけですが、デュアルスタックとかメンドクサーになってしまう技術者がいるのも人間の本性から見れば極めて自然なことだったりします。私の周りでも IoT というキーワードはそれなりに飛び交いますが、IPv6とか興味ある人あんまりいないです。

1ユーザの目線からしてもIPv6とかどうでもいい代物です。ユーザ目線でいえばIPv4だのIPv6だのの話はいわゆるネットワーク外部性が強烈に効いてくる領域なわけで、つながらなければ意味がないです。IPv6にして今までつながっていた相手とつながりません、と言われれば、 ユーザがIPv6を選ぶことは絶対にありません。

個人的には IPv6 には頑張ってほしいと思っているのですが、それはそれ。IoT のブームに乗って IPv6 が飛躍してくれるんじゃないかなーと淡い期待を抱いて調べものをしてみましたが、やっぱりまだまだ IPv6 の時代は来ないんじゃないかというのが私の結論です。IPv6は、百年河清を俟つ、なスタンスでないとやってられないのかなと私は思います。

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