働き手がいない!-生産年齢人口が減少する日本社会-

人手不足で賃金アップ?

最近、日経新聞を読んでいてこんな記事に出くわしました。

中堅企業で賃上げ最高 人手不足が影響[日本経済新聞 2016/12/1 22:00]

厚生労働省曰く、中堅企業で賃金アップが進んでいるのだそう。ただ、少し気になるのはその原因に関する次のような分析です。

『賃上げの理由に「労働力の確保」と答える企業が前年に比べ増加。厚労省は「人手不足に直面し人材を引き留めるために賃上げをする企業が増えている」と分析する。』

これ本当なのかなぁ?公権力をかさにゴリ押しで「賃金上げろ!」とか企業に強要してるんじゃないの?と勘ぐってみたり。なんか日常生活で感じる肌感覚と少し違うなぁと感じるのですよね。

確かに生産年齢人口は減少

このあたりの事情を、少し手間をかけて実際に総務省の統計データで確認してみます。今回は2006年から2016年までの10年間の統計を調査します。

この手の分析をする時は生産年齢人口を使うのがセオリーです。生産年齢人口というのは就労可能な年齢の人口のこと。15才以上、65才未満の年齢が「就労可能」と判断するのが一般的ですのでこれに従います。

で、その結果はといえば、2006年に8,373万人いた生産年齢人口が2016年には7,811万人に減少していました。年率に直すと約0.69%の減少率となります。

やっぱり少子高齢化の影響が出ているんだな。確かに生産年齢人口はここ10年で減少しています。

都市部の生産年齢人口減少はそれほどでもない

都道府県別という分析軸を入れてもう少し深堀りしてみます。そうして生産年齢人口の減少率がマシなグループとそうでないグループに分けて傾向を見てみます。減少率はいずれも2006年から2016年までの10年間の平均減少率を使って見ていきましょう。

まずは生産年齢人口の減少率がマシなグループからです。上位10県をピックアップします。

東京都: 0.35%
沖縄県: 0.18%
愛知県: -0.20%
神奈川県: -0.34%
滋賀県: -0.34%
埼玉県: -0.56%
福岡県: -0.61%
千葉県: -0.62%
大阪府: -0.64%
宮城県: -0.71%

生産年齢人口が増加しているのは東京都と沖縄県だけです。東京都はそりゃそうだろうと思うけど、沖縄県で生産年齢人口が増えているのは謎。

他には神奈川県、埼玉県、千葉県… つまり首都圏はまだマシな状況だということ。あとはやっぱり愛知県と大阪府ですか。

この顔ぶれ見れば分かるように、要は都市部は生産年齢人口の減少はまだマシな状況だということです。

地方に働き手がいない

逆に生産年齢人口の減少率が著しいグループを見ていきます。

秋田県: -1.82%
高知県: -1.69%
青森県: -1.65%
山口県: -1.51%
和歌山県: -1.47%
徳島県: -1.40%
奈良県: -1.38%
北海道: -1.37%
岩手県: -1.37%
長崎県: -1.34%

この顔ぶれ、一言でいえば地方ということですね。地方では働き手がいなくなっている状況が顕著だということ。特に、秋田県とかは年率2%弱の勢いで働き手がいなくなっています。空恐ろしい状況になっているんだろうなぁ。

あと関西在住な私から見れば、和歌山県と奈良県が結構な勢いで生産年齢人口が減っているのが気になります。一番マシな大阪府でも-0.71%の減少率で、平均をかろうじて上回る状況。これ、総合的に考えて、関西圏は本当に大丈夫なのか?と言いたくなります。

労働力が減れば賃金も上がる

こうやって調べてみて分かる事は今の日本で本当に働く人が減っているということです。そりゃ、働き手がいなくなって賃金アップって話にも信憑性があろうというものです。

都市部よりも地方の方で働き手が急速にいなくなっているという傾向が見えるので、転職を考えている人は思い切って地方に行ってみるという手もありかもしれないですよ。

今回は人口という切り口だけで調査してみましたが、そのうち、今回調べたデータと平均賃金の上昇率のデータを組み合わせて相関を調べてみようかみたいなことを考えています。まぁ、そのうちね。

出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)(http://www.e-stat.go.jp/)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする