トランプはロボット雇用問題をどう解決するか

アメリカに雇用を取り戻せ!

今、アメリカでは格差が拡大していて大きな問題となっています。トランプ次期大統領は格差社会でとばっちりを受けた層の支持を獲得することでアメリカ大統領選挙に勝利しました。トランプ氏としてはこれらの層を裏切るわけにはいきません。トランプ氏は、これら格差社会の下層レイヤの人々のご機嫌取りをしないといけません。

この問題を解決するために、トランプ次期大統領はアメリカ国内の雇用拡大を公約に掲げました。アメリカに雇用を取り戻して偉大なアメリカよ再び!という図式をトランプ氏は描いています。

では、アメリカの雇用拡大策は順風満帆に進むのでしょうか?私はそうは思いません。なぜなら、そこには現代の世界的な構造変化が背景にあるからです。

ロボットに浸食されるアメリカの雇用

そもそも、アメリカの雇用を奪っているのは一体誰なのでしょうか?それは本当に不法移民のせいなのでしょうか?どうも事情は別のところにありそうなのです。

トランプの誤算!?…雇用減少の理由は移民ではなく「ロボット化」だった

この記事を読む限り、アメリカの雇用を奪っているのはロボットだそうですが、これは十分あり得る話です。現代社会は高度に機械化した社会です。ロボットも大きく進歩し、人間の仕事を奪うまでに進化してきました。今、アメリカでロボットに雇用が奪われつつあると言われたところで何ら驚くところはありません。

アメリカの低賃金労働者の競争相手がロボットであるとすれば、ロボットを打ち壊してしまえば話は済むのでしょうか?現代のラッダイト運動を繰り広げ、ロボットを排斥すれば済む話なのでしょうか?いいえ、そうではありません。話はもう少し込み入っているのです。

アメリカ低賃金労働者のライバルたち

ロボットだって勝手に出来上がるわけはありません。誰かが人間の仕事を肩代わりする事を企図してしてロボットを作っているのです。

それは誰か?簡単な話です。所謂ハイテクIT企業がそういうロボットを作っているのです。さらに言えば、そういうハイテクIT企業のエンジニアがロボットを作っているのです。

ロボットに雇用を奪われている、というのは見かけの話にすぎません。アメリカの低賃金労働者の競争相手は高度に発達したロボットを作るITエンジニアたちなのです。

ロボットだって失業する

さて、トランプ氏の思惑通りに、アメリカの低賃金労働者の雇用を取り戻せたとしましょう。そうすると、今度はロボットの雇用を確保する必要が出てきます。ロボットの雇用とは即ちロボットを作っているエンジニアの雇用です。これが下手をするとなくなってしまいかねないのです。

これは、エンジニアの雇用の問題だけではありません。ロボットで稼ごうと思っているハイテクIT企業にとっても愉快な話ではありません。次の時代の稼ぎ頭となるべくロボット技術に投資をしたIT企業にとっては、トランプ氏の政策転換はヒヤヒヤものであるでしょう。

少し前に気になるニュースが飛び込んできました。

トランプ次期大統領とハイテク幹部、雇用や経済成長について会談

このイベントで彼らが何を話したのかがとても気になります。もしかしたら、ロボットやA.Iの売り込み先について話がなされたのではないかなあと私なんかは妄想しています。

この会合で人間とロボットの雇用に関する重大な議論が繰り広げられた可能性は十分にありえると私は思うのですね。

雇用を巡る新たな世界戦争

アメリカの低賃金労働者の雇用を守ろうとすれば、今度はアメリカの稼ぎ頭であるはずのITエンジニアの雇用が危うくなります。かといって、国内の低賃金労働者の雇用を棄てるわけにもいかない。トランプ氏はこの連立方程式を解かないといけません。では、どうするか?

それは簡単な話です。ロボットを使って他国の雇用を奪えばいいのです。

トランプ次期大統領はアメリカファーストというスローガンを打ち出しました。身も蓋もない言い方をすれば、アメリカ以外はどうなってもいい、ということです。だとすれば、雇用についても、他国の雇用を本気で奪いにくる可能性があります。

自国の低賃金労働者の雇用を守りながら、余所の国に対してはロボットを使ってなりふり構わず雇用を奪う。トランプ氏の時代のアメリカは、そういう事をやり始めるのかもしれません。

これが次の時代の近隣窮乏化政策のグローバルスタンダートなのでしょうか。

願わくば日本がその標的にならないことを祈るのみです。